私がコンサルティングで関わらせていただいている企業経営者の皆様は、会社をより良い組織にしよう、社員を育成して会社成長に繋げよう、と高い志を持って経営に取り組んでおり、同じ経営者として刺激を受けています。

一方で、組織の外から関わるからこそ見えてくる、経営者と現場社員との意識の差、伝わらない想いがあることを感じずにはいられません。

社員を活かす具体的手法を知らない経営者

会社成長は、経営者や管理者という立場の方が、いかに社員の能力を引き出し、活かせるかという手腕にかかっていると言っても過言ではないと思います。

小さな規模から経営をスタートさせて、会社発展を遂げた企業も多々ある中、私が中小企業診断士として相談を受けることが多い中小企業やベンチャー企業、2代目経営者の企業においては、

「会社貢献できる人材育成の具体的な方法」

についてのスキル・知識不足によって引き起こされている進まない組織改革、浸透しない新たな社内制度、溜まって行く古参社員のフラストレーション、
そして会社全体のモチベーションの低下・・・といった非常に残念なことになっているのが現状です。

経営者として組織拡大に伴う改革や新たな仕組みの導入など、方向性は合っていて、良質なものを取り入れようとしているにも関わらず、です。

組織外からサポートしている私から見えるのは、組織の経営者やリーダークラスの方々のマネジメントや人材育成のスキルに課題があると感じています。

さらに突っ込んで言ってしまうと、知識やスキルはあっても、経験値が乏しく、具体的にどうやって人材育成を進めるかが分からない、ということが多いように思うのです。

マネジメント経験が乏しい経営者

私は元NTT出身という経歴もあって、企業コンサルティングとしてサポートに入るきっかけはシステム導入が多いのですが、先日もこんなことがありました。

社内制度を抜本的に改革して、会社を成長させようと3年の間に人事評価システムを導入し、業務改革ととして完全ペーパーレスに向けたIT化等を積極的に取り入れたという中小企業経営者の方が相談にやってきて、

「現場社員が使いやすい、易しいシステムを導入したい」

とおっしゃいました。

システムを段階を追って複数導入したものの、現場社員が「どうやって使うのか分からない」とフラストレーションを抱えてしまい、その都度使い方をレクチャーする勉強会を複数回開催したが、結局全てのシステムが活用しきれていないとのこと。

話を聞くと、システム導入の際には全社員に向けて説明をした、その時はみんなも納得していたのに何故だろう、とおっしゃっていたので、私は後日、人事評価シートの一部を見せてもらうことにしました。

ある一人の社員が書いた自己評価および部下評価のコメント欄を見て、私は即座に

「人事評価システム導入の意義を理解していない」

と思いました。他の社員の方のデータをざっとチェックしても同じように理解しきれていない状態だったのです。

私は、経営者の方が大手企業に所属して、営業として高い能力を発揮していたものの、管理職としての経験がないまま独立した背景を知って、経営者におけるマネジメント力向上が急務であると感じたのでした。

経営層のマネジメント力強化の必要性

以前このメルマガでご紹介した稲盛和夫氏の著書「心」においても、

会社を成長させる時も、会社を立て直す時も、最初にやるのは人の成長である

と書かれていました。

同様に、私が前述の企業において、経営者を含め、そこで働くひとりひとりの成長・スキルや知識を身につける必要があると考えた理由は以下のようなことからです。

経営者の成長がもたらすもの

経営者は、システム導入について社員に説明したと話してくれましたが、残念ながらただ説明しただけでは人は動きません。

社員の立場に立ち、モチベーション高く仕事に取り組めるよう、なぜ社内システムを導入したのか、その背景や理由を社員が腹落ちするまで丁寧に説明する必要性に気づくに至らないということは、経営者自身のマネジメント経験不足に他ならないと私は考えます。

だから、経営者には社員の力を引き出すマネジメントを学び、具体的な手段をとって推進力を発揮する経験を重ねて、社員を活かす視点を醸成する必要があるのです。

社員の成長がもたらすもの

経営者の思いを受け取り、自発的に会社貢献しようというモチベーションのベースには、そもそも会社が何のために存続しているのか、経営理念は何か、自分の仕事は社会にどのように役に立っているのか等の理解が不可欠です。

「そこまで会社が教えないといけないのか」
「パートやアルバイトは関係ないでしょう」

といった考えもあるかもしれません。

しかし、これは私の実体験なのですが、連日遅刻・ミス連発の女性パート社員に対して「こんな風に彼女へ声をかけてください」と彼女を雇っている経営者にアドバイスしたところ、その翌日から遅刻がなくなり、別人のように活き活きと働き出した、という類の出来事は一度や二度のことではないのです。

経営者といった影響力のある人からの適切なマネジメント・関わり合い、さらに教育・育成によって、会社の一員であることの意識が高まり、貢献する意義を自ら見出せるようになれば、社員であろうがなかろうが、経営者の思いを受け取って、自立的に成長し続ける人材になっていけると私は考えています。


これから規模拡大していこうとする中小企業は、経営者だけ意気込んで突っ走る構図となってうまくいかない、と見えがちかもしれませんが、経営者自身の成長、そして社員の成長によって障壁と思われた状況も、すんなりと乗り越えていける、これが私の経験から感じているところです。

経営者と社員をつなぐ「架け橋」

私がコンサルタントとして企業サポートをするきっかけは何であれ、最終的には

「人材育成」「マネジメント」

という分野においてその価値を感じて継続してくださる理由がだんだんと明確になりつつあります。

冒頭でお伝えした通り、会社成長に欠かせないのは社員の成長であり、その成長を促す影響力を持つのは、中小企業やベンチャーという小規模な組織であれば、経営者であることに間違いありません。

私はサポートする企業の経営に直接関わることはありませんが、経営者と社員の乖離を見極めて、それぞれが教育を受け、少しずつ歩み寄る姿勢をとることから生まれる相乗効果によって、会社成長につながっていくための、「架け橋」の役割を担っていると考えています。

提供中のセミナー・講座一覧はこちらから